アニメエイガ妄想駄文

アニメや映画について思ったことを書いていく予定です。

いざ秋アニメ!の前に『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』を少し振り返る。

 

 『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』とは、ブラッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼズのアメリカ人コンビのサイバーパンク小説「ニンジャスレイヤー」を、『キルラキル』を世に送り出したアニメ制作会社トリガーがアニメ化した作品だ。

 twitter上で連載という異色の連載形式。独特の文体に翻訳された「ニンジャスレイヤー」という作品は、その世界観も独特で、悪徳の支配する夜の街を〝ニンジャ〟と呼ばれる超人的存在が暗躍するというものだ。

 主人公は、ニンジャの抗争に巻き込まれ妻子を殺された男、フジキド・ケンジフジキドは妻子の仇を討つために自身もニンジャとなり、ニンジャの支配する世界に戦いを挑む、という復讐劇が物語りの主軸になる。

 あの『キルラキル』トリガー制作のアニメということで、大きく注目が集まり、アニメ本編の配信はインターネットのみという配信形態も珍しく目を引いた。

 そして、四月。いざ本編が公開されると、視聴者は驚かさることになった。

 

 崩壊したビルの内部。壁は崩れ去り、そこから夜の毒々しい色のネオンに照らされた街がのぞく。いたるところに瓦礫のあるフロアには異形の存在が一つ、ニンジャ。ニンジャの足元には、床に伏し今にも息絶えそうなスーツ姿の男が一人。死の淵にいる男をニンジャが嗤う。粘りつくような声で、お前の顔の皮を剥いでやる、と告げるのだった。

 と、「ニンジャスレイヤー」という残酷で異質な世界を見せるところから始まる。それはいいのだ。よくある張り手型、つまり印象的な場面からの始まり。問題なのはその表現方法だ。

 フラッシュなのだ。しかも、懐かしき4:3の画面サイズ

 緻密に描き込まれた背景を、人物の立ち絵がなんの動作もなくスィーっと画面を横切る。

 いったいなにが始まったのだ…。視聴した私の心中に、困惑としかいいようのないものが浮かんだのを覚えている。

 『キルラキル』のような圧倒的な描き込みや、動きのある演出を期待していた人も多かっただけに、そのあまりの突拍子のない――ある種手抜きとしか見えない――演出に、「期待していたものとは違う」というような内容の反応をtwitter上で見たのを記憶している。

 フラッシュからのわずかの間だが普通の動く絵になる。そして、すぐまたフラッシュに戻ったりと、これはもう普通のアニメではない。しかし、それでもどんな話かわかる。むしろ、しっかりと描写されているのだ。主人公の血塗られた復讐劇の始まりが。退廃的な世界が。ニンジャが。この『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』という作品がどのようなものなか。

 それらを、わずか12分27秒に見事に凝縮された第一話だった。間違いなく春アニメの中で最も優れた第一話の一つだった。

 

 最終話である26話は10月8日が公開された。最後までフラッシュ演出は健在だった。